昔々、美しい海にかこまれた、ある島国に「マリアナ」というお姫さまがいました。その島で暮らしている人々は、そのお姫さまを「マリアナ妃」と呼んでいました。マリアナ妃は、心のやさしい人でいつもみんなの幸せを願い、夜の星空に向かい、祈りを捧げていました。マリアナ妃はいつも、困っている人がいれば助けに行き、泣いている人がいれば、話を聞いてあげます。そんなある日、マリアナ妃が暮らす島をめがけてよその国から、船にのった人々があらわれたのです。そして、「この島を渡しなさい！」と、大きな戦いがおきました。そこで暮らす人々は島を守らなければ！と、自分から戦いに行く人もいました。この島にいたら「殺されてしまう！」と、遠くの島に逃げた人もいます。大切な家族が死んでしまったり、友だちと離れ離れになってしまう子もいました。そんな、悲しむ人々の姿をみたマリアナ妃は、昔から伝わる神聖な場所へと向かったのです。

まず、訪れたのは、すぐ近くの小さな離れ小島でした。
そこには、大きな木があります。亡くなった人々の魂が宿っているとされている、その木の壮観な姿をみると、木の魂は耐えなければならなかった過去からの苦難を乗り越え、成長し続けてきたことを感じます。
マリアナ妃は、「どうか、大自然に囲まれて育ったこの木のように、人々が大切に守り続けてきたこの国がこれからも発展し続けますように・・・」と、「育」の祈りを捧げました。

次に訪れたのは、古代の誕生の地、幾世代もの産卵にきたウミガメ達の卵が太陽によって自然に暖められふかする砂浜でした。
「どうか、この国から争いがなくなりこの砂浜に来るウミガメのように、これからも人々に新たな生命が誕生しますように・・・」と、「命」の祈りを捧げました。

その次におとずれたのは、島の最北端にある岬でした。
「どうか、この荒ぶる波のように人々に生きる強さを与えてください・・・」と、「生」の祈りを捧げたのです。

その次におとずれたのは、人々が立ち入ってはならい鳥たちの住み家でした。
「どうか、大空を羽ばたくこの鳥たちのように、これからも人々が自由に会いたい人に会いに行けるような愛の翼をください・・・」と、「愛」の祈りを捧げました。

その次に、島の一部を横にまっすぐ切り落とし、岸部が砕けるような海の激しい光景に息をのみながら断崖の一番端に立ち、小さな島をみつめました。
「どうか、人々にこの島に眠るエネルギーと、人々の心は岸部が砕けるような海の激しさにも負けないものであると教えてあげてください・・・。」と、「教」の祈りを捧げました。

最後におとずれた場所は、この島で一番高い山の頂上でした。
島のすべてを見渡せるこの山の頂で、マリアナ妃は天に向かい「育」「命」「生」「愛」「教」５つの祈りをもう一度捧げました。

そして、最後に人類の幸せを願いマリアナ妃の想いが島々の全ての人へ伝わるように6つ目となる「伝」の祈りを捧げました。
マリアナ妃の目からは大粒の涙が流れ落ち、その涙は海一面に広がりました。
すると、雲間から一筋の光が差し込み大きな虹がかかりました。
その日から、争いはなくなり穏やかな日々が訪れるようになったのです。
それ以来、人々はマリアナ妃が流した涙を『Tears of Mariana』と伝説の涙と語り、海一面に広がった涙の色を「マリナブルー」と呼ぶようになりました。
それから、その場所をおとずれる人たちはマリアナ妃の涙に守られ、幸せになれる6つの物語が伝説として語り継がれるようになったのです。
この６つの愛の物語『Story of six Love』は今も人々から愛され、伝説の場所として存在し続けているのです。